<なかや 2007. 7. 31 - 8. 1>

last update 5.July.2009


 ずっと行きたかった「なかや」(長野県)

 出発前に地図をFAXしてもらった。
 たまにはボクが地図を見て、なおこが運転。
 地図を見ながらボク「えっと川を渡るんやから右やな」
 どんどん坂道を上って行く。

 二つ目のなかやのかんばんを発見。
 クルマを駐車場に停めて、歩いて坂道を下って行く。

 民家の間を通り抜け、家庭菜園をチラっと見ながら、
 そのまま直進したら、なかやの母屋に到着した。

 すでに連泊しているお客さんにごあいさつ。
 次にときさんがあいさつしてくれた。
「ときみつです。ときと呼んでください」
(あ〜、これがときさんか〜、となぜか意識が遠のいていく・・薄らい
でいく意識の中でボクはちゃんと自己紹介したのかどうかも覚えていな
い・・)

(はて、なつめさんはどこにいるのだろうか)
 それを察知したかのように、ときさんが、
「なつめはあっちの畑にいるよ。一人で草刈りしてるよ」
と教えてくれる。

 なつめさんに会わなくちゃ、と思い、歩き出す。
 一分くらい歩いたら、眼下の畑でなつめさんがこちらに大きく手を振
っているのが見えた。
(なつめさんは遠くに見えるこの三人が藤川一家だと認識しているよう
だ)
 坂を下り、なつめさんにあいさつする。
 今度はきちんとあいさつできた。
 早速、自然農の畑を案内して頂く。
 アマランサス、とうもろこし、トマト、なす、こんにゃくいも・・い
ろんな野菜が立派に育っている。肥料は近所の無農薬国産大豆から豆腐
をつくったあとに出るおからを大量に投入している。

 なつめさんといっしょに母屋へ戻る。
 しょうゆを保管している倉を見せて頂く。
 立派な倉だ。
 ちなみになかやに冷蔵庫はない。

 子供たちがわいわい遊んでいる空間に身を置く。
 大人も子供も木のスプーンを彫っている。

 湧ちゃん、可愛い。
 犬(縁)といっしょに結構過激に遊んでいる。

 じっぴーも可愛い。
 驚くべきは応答の早いこと。
 1歳10ヶ月で大人のことばをほとんど理解できるだけでも驚きなの
だが「こうしたい?」「したくない?」といった類の質問に対し、瞬時
に返答がある。はっきり言って大人よりも返答が的確でかつ素早い。

 なつめさんの自然な夕食は期待通り。
 玉ねぎ以外はすべてなかやの収穫物。
 頭が下がるとはこのこと。
 しかもおいしい。
 ろくすっぽおしゃべりもせず、ほおばった。
 ごちそうさま〜

 子供たちは食前にお風呂。
 大人は食後にお風呂。

 ときさんがつくった露天風呂に祐也といっしょに向かう。
 入り口がわからず、しばらく探してしまった。(笑)
 無事露天風呂を発見し、入ると、素敵だった。
 工事現場の(入ったヒト、わかるよね)ふたを取って、からだをかん
たんに洗い露天風呂に入ると、夜空には満天の星。うーん、ぜいたく。

 なつめさんの mixi の日記を数ヶ月間拝読していたボクは、どうやら
なかやの夜は大人の時間、すなわち「飲み」の時間になる可能性が高い
ことを察知していた。

 さっき滋賀県の浪乃音酒造で買ったばかりの純米酒をもって母屋へ向
かう。すると、みんなが笑顔で迎えてくれる。ボクが「純米酒をもって
きました」と言ったら、隣の部屋のとびらが開いてときさんが出てきた。
わずか一分以内に自家製のおいしい漬物など酒のつまみも揃い、なだれ
込むようにしかし静かに大人の会話が始まった。

 mixi でなつめさんには伝えていたけど、他のお客さんには六ヶ所の
ことや浜岡のこと、オール電化のこと、IH、エコキュートのことは伝
わっていなかったので、ボクはなるべくゆっくりわかりやすく、いかに
伝えるかということに焦点を絞って話し始めた。

 場がいったん重たい話題を離れたがっているのに氣づいたのですぐに
話題転換。ときさんにバトンタッチ。ときさんとなつめさんがどんな思
いで、どこでどんな暮らしをしながら、どんな出会いを経て、どんな考
えでここを拠点とすることを決め、自然な宿を始め、成功し、いまに至
っているかを知った。それはそれは感動的な話だった。まだ知らない方
はなかやを訪れるべし。

 なかやを訪れる前、なつめさんやときさんっていったいどんなヒトか
な〜と思っていた。

 なつめさんは、ちょっと小柄な感じで、なりふり構わず突き進むタイ
プかな〜と。つまり、一度決めたらやり通す強靭な意志を持っているが
ゆえ、他人の意見にはそう簡単には左右されない、やや頑固な感じで都
会的な暮らしには合わない、そんな方かな〜と。これは半分当たってい
たけど、半分ははずれていた。良い方に。まず、優しい身のこなしが印
象的。しかも聞く耳を持っている。ヒトの意見を聞こうという謙虚な姿
勢、あなたの話に興味があります、という素直なまなざしが忘れられな
いほどだ。しかしもちろんご自分の意見もピシッとある。ボクは失礼の
ないように頭全開でことばを選んで話したため、かなり飲んだのにも関
わらずほとんど酔わなかった。

 ときさんとは mixi での事前のやりとりがなかっただけに、グレーだ
った。ただ、なつめさんがあれだけ饒舌なのだから、ときさんは寡黙に
もくもくと薪割りをし、農作業を進め、家を修復し、客人をもてなす、
そんなヒトかな〜、と予想していた。しかしこれは印象として半分以上
はずれていた。強靭な意志と体力と優しさをもちあわせ、スパンとした
決断力を持っていることは間違いないのだが、なんとときさんも饒舌だ
ったのだ。けどもちろん単なるおしゃべりではない。人生・生き方・自
然・地球環境・農作業・石窯・露天風呂・自然の宿・子育て・川登り体
験・・どれをとっても含蓄のある人生論になってしまう。しかし重たい
話にはせず、すべてをさらっとスマートに、ときにアニメのキャラクタ
ーなどを持ち出し、笑いの要素やユーモアを交えながら表現してくれる。

*

 泥のように眠り、翌朝まだ眠い中、なおこが起こしてくれた。
 朝食の準備が整いつつある様子。
 なつめさんは普段朝食を食べないそう。
 けど、お客さんのために朝食をつくる。
(実はなかやから和歌山に帰ったあと、藤川家でも基本的に朝食を食べ
ないことに決めた。もしくは水と生野菜か果物のみ。ただし絶対に食べ
ないのではなく基本的にというゆるいルールにした。朝食を食べないと
快調、快調)

 その後、ときさんの畑を見に行く。
 エゴマ、立派。大豆、立派。

 午前中はじゃがいもを植える畑の準備。
 スコップやくわで畑の土を掘り返した。
 汗が流れた。心地よい疲労感。

 すぐに昼食の時間に。
 なつめさんが石窯でパンを焼いてくれた。
 おいしかった。

 湧ちゃんもじっぴーもすっかりなついてくれてうれしかった。
 湧ちゃんはかなぶんを捕まえては飛ばし、捕まえては飛ばし、という
過激!?な遊びに熱中。ときどきボクの方を見て笑ってくれる。

 じっぴーは子供向けの本をボクに見せ、ことばの確認をボクに何度と
なく求める。「字」ということばと「なんだこりゃ?」というセリフの
繰り返し、いわば漫才の入門編といった感じで、つっこみ役を七分間ほ
どさせてもらった。生涯忘れられない七分間となった。

 双葉くん、かっこいい。
 二階で和太鼓をたたいてくれたよ。
 ポーズ、掛け声、姿勢、たたき方、リズム感、強弱。
 負けました。完敗です。キミに拍手。

 双葉くん、お次はギターで弾き語り。
 まだ7歳だよね、コードを押さえながら弾き語り。
 ファミリーの曲も。
 ボクも「平和の唄」をピアノだったら、いつも弾き語りしてるよん。
 音楽っていいね。

 午後三時過ぎ、もうお別れの時間。
 けど、初回としては一泊でも十分満喫できた。
 いままでいろんな宿に泊り、いろんなヒトと会ったけど、
 なかやファミリーは top と言っても過言ではない。
 そのくらい強い影響を受けた。

 自給自足で自然な宿をする。
 なかやに出会う前から思い描いていた夢だけど、
 いざ、実現している家族に出会うと、
 よい刺激になるね。

 無農薬・無化学肥料で野菜と米を育て、
 味噌、醤油、梅干し、漬物・・なんでも自家製。
 ガスには頼らないので、料理・風呂・石窯は薪で。
 冬は薪ストーブだから、灯油も買わない。
 水道はあるけど、おいしい湧き水もある。
 冷蔵庫すらないので電気代は二千円以下。
 いわゆるバイオエタノールは精製過程で薬品を使用するので、
 SVOを選択。
 てんぷら油などの廃油で走るのでガソリンも買わない。
 商売柄、電話とインターネットはあるね。

 多分、塩は買っているね。
 数少ない買わなければならない必需品だろうと思う。


 なにはともあれ、ときさん、なつさん、ありがとう。
 この感謝の氣持ち、一生、忘れません。


 穀物菜食と自然体験の家「なかや」
 http://www.mis.janis.or.jp/~nakaya04/

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