<ハンググライダー 2006. 1. 17>

last update 2.February.2006

 鳥のように空を自由に飛べたら楽しいだろうな、とは誰もが一度は思
い描く夢ではないだろうか。

 わずか5分間の空の旅だったが、風の音だけを聴いてシューッと滑空
していくのは氣持ちよくそしてまさに異次元の体験だった。(普段ボク
らは二次元の世界に住んでいるけど、空中は三次元だもんね)また、生
まれて初めて得た鳥の視点で真上から見下ろす田畑や民家は確かにいま
まで見たことがない見え方で目に飛び込んでくる。(航空写真のそれだ。
その風景が秒刻みに動くのだ)

 以下にボクが鳥になった日のことを書きとめておこうと思う。鳥にな
るのはそんなにむずかしいことではなかったこともつけ加えておこう。

*

 ここは茨城県石岡市。つい先日まで八郷(やさと)という地名だった
場所だ。ハンググライダーに適した地形・土地としては国内では最も有
名なところ。

 朝、インストラクターの山崎勇光さんに元氣よくあいさつ。
「おはようございます」

 まずは一筆、書かされる。どんなことになっても賠償請求しない旨、
了解します、という申し込み用紙にサインする。ま、いいじゃない。
一寸先は闇ということばがあるでしょう。都会で日常生活していても交
通事故にあう可能性だってあるのだから。

 まずは地上トレーニング。ハンググライダーのフレームが地上に設置
してある。

 離陸直後の動作の練習。自分の足をハーネス(専用スーツ)の中にす
みやかに収める練習だ。最初、うまくいかなかったけど、だんだんでき
るようになる。

 着陸態勢の練習。からだを起こし、背筋をつかいフレームにつかまる。
(実際のタンデムでは胴体スライディングで降りた)

 離陸するための助走練習。これは二人で息を合わせて、互いに真横の
位置で7〜8歩、思い切って走る練習。実際は傾斜21度くらいを谷に
向かって走り、離陸する。

 さぁ、クルマにグライダーを積む。山道を登ること、7〜8分で離陸
する場所に着いた。グライダーをクルマから降ろし、丘の上まで運ぶ。
教わりながらグライダーを組み立てる。ワイヤーが変に絡まってないか
確認する。

 ハーネスを着る。ハーネスの中の又を支えるヒモの外側に足を入れる。
背中のチャックを上げてもらい、カラビナを掛け、グライダーにからだ
がきちんとぶら下がるかを確認してもらう。「ラインOK!」

 風は向かい風。微風。(追い風(フォロー)では離陸できない)
 二人でグライダーを持ち、離陸する場所へ移動する。
 遠くに山々が見え、下には田んぼや民家が見える。
 ここを谷へ向かって7〜8歩、走りぬければ、空の人となるはずだ。

 勇光さんが「はい、深呼吸しましょう」と言ってくれる。
 一回だけ深呼吸してみる。ふー、

「ではいきましょう」
「はい」
「3歩あるいて、そこから一氣に走ります」

 思い切って離陸台を谷へ向かって走る。
 ダダダダダダダッ
 パッと踏み切ったら、飛んだ!
 さぁ、足をハーネスに収めないといけない。
 よいしょ、意外にすぐに収まった。その間3秒。
「足、うまく入りました!」と勇光さんに報告する。

 コントロール・バーをすぐに譲ってもらい、操縦してみる。
 体重移動を教わる。
 思ったより力はいらない、繊細な操縦が求められる。
 グライダーの傾きを感じ、風を読み、対応していく。

 風は穏やかで、空中散歩は想像していたよりはるかに平和。
 シューッという風切り音だけを聴きながら滑空していくのはまさに鳥
になったよう。

 ゆっくりと8の字を描いて着陸態勢に入る。
 ハーネスから足を出す。
 勇光さんの後ろにまわり、二本のヒモにつかまる。
 地面がどんどん近づく。臨場感抜群。
 ザザーッとスライディングで着陸した。

 ボクは再び地上の人となった。

 カラビナをはずし、グライダーを持ち上げ、運ぶ。
 重い・・
 がんばって運ぶ。
 女性でも慣れれば一人で運べるそうだ。
 負けてはいられない。

 グライダーをたたみ、クルマに積む。
 この日は合計三本、飛ぶことができた。

 基本は、

1. take off 離陸  と、
2. landing 着陸  だ。

 初心者はまず浜で何度も何度も練習しなければ一人で飛べるようには
ならない。一日中、海岸の砂浜を駆けずり回って、体育会系さながらの
トレーニングを受けたら、きっと飛べるようになる。

 そして、目標地点に着陸できるようになる。これが初心者にはむずか
しいそうだ。

*

 トンビやノスリがはばたきもせず、旋回しながらどんどん高度を上げ
ていくのを見たことがある人は多いと思う。

 あれは熱上昇気流(サーマル)を利用しているのだそう。太陽光によ
って地表が暖められ、目には見えないけど、空気中にポッカリ発生した
大きな風船(サーマル)が天に向かってゆっくりと上っていく。

 その目に見えない風船の中心をとらえ、その風船(熱上昇気流)にの
って旋回することができれば、上空1000m〜2000mまでも上っ
ていけるのだそう。(3〜4月は熱上昇気流が発生しやすい)

 腕があがれば3〜4時間、飛んでいられるし、100〜200km先
まで飛んでいけるそうだ。しかも法律上は浮遊物扱い!なので、どこへ
でも行ける。自衛隊の基地の上を飛ばないとか、公道に着陸しないとか、
常識を守っていれば基本的に自由。(知らなかった)

 多分ハンググライダー愛好家達は、法律がないからこそ(この状態を
保持したいから)他人に迷惑をかけないように氣をつけているのだと思
う。

*

 以前からハンググライダーというものがあることは知っていた。けど、
やってみよう、という氣にはならなかった。理由はなんだかあぶなそう
だし、面倒くさそうだし、おカネもかかりそうだと思っていたから。

 しかし、今回、整体師の鈴木さくやさんに誘われ飛んでみて(^^ わか
ったことは、思ったよりもずっと安全性は高いこと、スキーに比べ面倒
ということもないこと、とりあえずレンタルで始めるならおカネもそれ
ほど心配ないこと(これもスキーに比べ)さらに本格的に習いたいと思
い入校した場合も普通自動車免許を取得するくらいの料金であることも
わかった。(一人で飛べるまでにたとえ三年かかっても追加料金はない
そう)

*

 この感動は、とても文字では伝えきれない。
 興味のある人はぜひご連絡ください。(^^

  2006. 1. 17 ふじかわ おさむ at 南荻窪




離陸2分前。緊張氣味の面持ち・・





ライン・チェックをする。
きちんと吊れているか、確認。





さぁ、深呼吸 ふー、





鳥になった!





これは一人乗りのハング





八郷の山々
ここは風景がいい。





これはあるサイトからもらった写真
こんな感じでキミも飛べる!





離陸の前夜。望遠鏡を通して撮影した満月 by Suzuki Sakuya






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