<パック・ツアーはお好き?>

last update 3.December.2007


 昨日、ある知人から「よかったら海外旅行にご一緒しませんか」と、
非常にていねいなお誘いを頂戴した。実はそれが常々行きたい国だった
からなんだかうれしくて、具体的にどんな旅行になるのかをたずねたと
ころ、一枚の紙を彼が見せてくれた。それはパック・ツアーの日程表と
申込要綱だった。旅行会社の企画したツアーではなく、NPOの企画し
たツアーなので、心のこもったおもてなしがその旅行内容からも見てと
れて好感が持てたし、実際、行ってみてもいいくらいだったが、実はお
断りしようと思っている。

 その理由は、団体旅行が苦手だからだ。

 こう書くとたいていの日本人はこうとるだろう。
 あぁ、藤川さんって意外に協調性がないのね。
 一週間程度の短期旅行でさえ他人と一緒に行動する自信がないのね、
と。簡単に言うとだらしがない人間と思われるらしい。「団体旅行が苦
手」と言っただけで・・

 けど、そういう意味で団体旅行を嫌っているわけではないのだ。

 パック・ツアーというのは、つまり行き先や行動スケジュールがすで
に決まっていて、さらにツアー・コンダクターが添乗していて、通訳も
してくれるし、遺跡の解説もしてくれるし、旅先でのなんらかのトラブ
ルも迅速に解決してくれる、そんなツアーのことをいう。

 しかし旅行の醍醐味というのは、自分でスケジュールを組めることだ
し、またスケジュール変更もおてのもの。通訳はほとんどの場合不要だ
し、遺跡の概要はガイドブックを読んで日本で勉強していくべし。旅先
でのトラブルは自分自身で解決することによって様々な学びになると思
う。

 ツアーのデメリットは多い。行き先が決まっている分、現地人との交
流機会が極端に少ない。また、現地人と交流できる場面であっても通訳
がいれば、つい頼ってしまうことも多い。通訳を通さず、ボクのあまり
うまくない英語でしゃべろうもんなら周囲のヒトの目がきびしい。また
現地人がわかりやすく(英語で)話してくれているのに通訳の日本語を
いちいち聞くのはまどろっこしい。自由時間は限られており、また全日
程も3泊から5泊程度と非常に短期なのも特徴的だ。(一ヶ月くらいは
行きたいもの)

 つまり、海外旅行のパック・ツアーでは旅行の楽しみは半減してしま
うのだ。

 にもかかわらず、日本人はパック好きだ。英語ができないヒトが多い
せいもあると思うが、英語ができるヒトもわりとふつうにパック・ツア
ーを選んでいる。パックが安いということもあるだろうが、いくら安く
ても楽しめない旅行には行きたくないと思う。(ただし、パックでも自
由時間が非常に長く組んであるツアーもあるので、そんなツアーならば
行ってみてもいいと思う)


<いまどきの日本人>

 日本人は世間体が大事だから、大部分のヒトがパックを選んでいると
いうことが重要なのだろう。

 また日本人はこういうことばが好きだろう。
 寄らば大樹の陰
 長いものには巻かれよ
 ことなかれ主義

 上記を全否定する氣はないけれど、あまりにもこり固まっていると面
白い人生は待ってないかもしれない。特に「ことなかれ主義」なんて官
僚やお役所仕事を思い出してしまう。(笑)なるべく問題が起きないよ
うに事前に手を打っていくことはもちろん必要なことだが、極端に「こ
となかれ主義」に陥ってしまうと、改善案さへ潰したくなるようだ。

 組織やみんなのために良い提案をすることは、一時的にも当然、波風
をたてることになる。しかも、その提案によって思いもよらぬ失敗や敗
北を招いたらどうしよう・・そんなことになるくらいなら良い提案もし
ない方がいいや、という具合に「ことなかれ主義」に陥っているヒトは、
とにかく世間体ばかりを氣にして目立たぬよう行動するものだ。ずいぶ
んつならない人生だな、それは。良い提案もできないなら、よりよい社
会にはならないでしょうが。


<フリー・スタイルの旅>

 出発前(三ヶ月前)に往復の航空券と一泊目のホテル(宿)だけを予
約しておく。これでOK。あとは現地でより安価な宿を探し、行き先も
移動手段もレストランも日々自由に決めていく。大学3年生のときの初
めての海外旅行がこのスタイルだった。ロンドン、パリ、ミラノ、フィ
レンツェ、ローマを17日で周遊した。美術館ばかりまわった。よい思
い出。その後もオーストラリアに二ヶ月間、有機農家で働きながら寝食
を共にしたり、バリ島に家族三人で一ヶ月間滞在したりした。特に大き
な問題が起こったこともなく、困ったこともなく、ついでにおカネもそ
れほどかからなかった。ハネムーンもパックではなく、フリー・スタイ
ルで南仏のニースへ行った。これもよい思い出。アントルヴォーへも足
を伸ばした。

 よく新婚さん限定のパック・ツアーがあるが、あれはやめた方がいい
んじゃないか?バスで新婚さんカップルが何組もまとまって移動するの
はなんとも不思議な光景。どうしてもパックがよければ、新婚さん限定
ではない通常のパック旅行をおすすめする。それでなんの不都合があろ
うか。


<自由に生きる>

 海外旅行は長期・フリーに限る。短期のパックはあまりにも面白味が
ない。えっ?長期では行けないって?それはあなたがそういう人生を選
んだということに過ぎない。忘れてならないのは「会社にあなたが縛ら
れているのではない」ということ。あなた自身があなたの意志で(あな
たの好みで)あなたを縛っているという事実を忘れないでほしい。誰一
人として、またどんなに大きな会社・組織もあなたを縛ることはできな
いことを思い出してほしい。ヒトは生まれたときから自由だ。ちょっと
格好よく言えば、無限の可能性を秘めている。

 えっ?無限の可能性なんてないって?それはあなたの意識が勝手に自
分の可能性を狭めているに過ぎない。小鳥のかごに閉じこもっている場
合ではない。周囲のヒトに迷惑をかけない程度ならどんなことをしても
自由だ。それよりも自分自身が自信にみなぎり、自由に生きていけたら
どんなにか周囲のヒトを励ますことになるかを想像することの方がずっ
と楽しい。

 2007. 11. 28  ふじかわ おさむ at 和歌山市

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